Human Resources

社会人基礎力について

「社会人基礎力」とは2006年1月に経済産業省より「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として定義された概念。その後、見直しが行われ、2018年2月に経済産業省の産業人材政策室より「人生100年時代の社会人基礎力」として発表された。
<POINT> ・社会人基礎力は「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」である。 ・「考え抜く力」「チームで働く力」「前に踏み出す力」と、それを構成する12の能力要素から成る。 ・2018年に「人生100年時代の社会人基礎力」として見直しが図られた。 ・変化の激しい現代の状況を受け、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「どう活躍するか」という3つの視点が追加された。

社会人基礎力が生まれた背景

制定された2006年は、ニートなどの若年無業者が社会問題化しており、主に大学を中心とした教育界から産業界へのスムーズな移行が望まれていた。 特に産業界が「教育を通じて育んで欲しい」と思う能力に関して双方の十分な意思疎通がとれておらず、社会人として必要な能力を言語化する必要性が高まっていた。 そこで産業界の意思を集約する形で経済産業省が「社会人基礎力」を発表。 主な要素は3つの能力=「考え抜く力」「チームで働く力」「前に踏み出す力」と、それを構成する12の能力要素から成る。

人生100年時代の社会人基礎力とは

2017年より経済産業省内にて、「働き方改革」の一環として、「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」が有識者を交えて開催され、研究会内に設けられた人材像ワーキンググループでは法政大学の諏訪名誉教授を座長に「人生100年時代における社会人基礎力」をテーマに議論が進められてきた。 これまでの社会人基礎力が大学から社会へのスムーズな移行を目的としていたのに対し、新たな社会人基礎力は就学前からシニア層に至るまで、幅広い年代層を対象としている。資料では「これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力」と定義されている。
背景には、産業構造の変化等で自らが持つ職業経験やスキルの賞味期限が短期化しており、常に学び続け、自らを常に振り返りながら、必要なスキルをアップデートしていく必要性が高まっている事にある。

新たに加わった3つの視点

「何を学ぶか」

→学び続ける力、「OS」と「アプリ」、マインドセットとキャリアオーナーシップ
何を学ぶかとは「学び続けることを学ぶこと」とされている。人生100年時代に向けて、自分の強みや弱みを棚卸しし、自らのスキルや経験を時代に合わせて常に磨き続けることが望まれている。その能力を発揮する力として「考え抜く力」がより一層重要になるとされている。

「どのように学ぶか」

→統合、リフレクションと体験・実践、多様な能力を組み合わせる
どのように学ぶかは、社内外にかかわらず「(兼業・副業・複業・出向など)様々な経験や体験の総量を増やし、自らの視野を広げて、自己の多様な体験・経験や能力と多様な人々の得意なものを組み合わせて、目的の実現に向けて統合すること」とされている。 その施策として、産業界で必要とされる知識を習得する為のリカレント(学び直し)教育の整備や、企業における成長機会の提供及び自律支援の充実が求められています。また、自らの経験や知見を外部の方々と一緒に取り組んでいく際に「チームで働く力」がより一層重要になるとされている。

「どう活躍するか」

→自己実現や社会貢献に向けて、企業内外で主体的にキャリアを切りひらいていく どのように活躍するのかとは「自己実現や社会貢献に向けて行動すること」とされている。社内で自らのキャリアを存分に発揮したり、新たな場所を求めて求職活動を行ったりするなど、具体的な活躍の場を得る為の行動が求められている。 その行動を促すための力として「前に踏み出す力」がより一層重要になるとされている。上記3つの視点のバランスを図り続けることで、変化する社会の中で、自らの意思でキャリアを作り上げる「キャリアオーナーシップ」を個々人が見定めることにつながるとしている。