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改めて考える「社員教育」

改めて考える「社員教育」

改めて「社員教育とは?」と問われた時、はたと困ってしまう。学校でのフォーマル教育とは異なり、大人が大人を教育するこの「社員教育」とは、どのようなものなのだろうか?今回はその概要を捉えてみたい。

社員教育の概要

社員教育とは、企業が従業員に対して提供する教育の総称。
社員教育=社員研修と捉えられがちだが、研修は社員教育の実施形式の一つである。社員教育には、研修以外にも、OJTや面談、推薦図書の配布、資格取得支援など、様々な実施形式がある。

社員教育の種類については、目的別に分類できる。
目的については、大きく以下の2つに集約される。

■共通認識の構築
企業や社会の一員として仕事をする上で、必要な共通知識、規範、考え方を浸透させる

■人材育成による業績向上
仕事に役に立つスキル、知識、思考に関する教育を実施し、人材の育成と業績の向上につなげる

社員教育の必要性

一人ひとりが企業を代表する社員として振る舞えるように教育することで、会社の信頼性を向上させること。

従業員はそれぞれ受けてきた教育やバックグラウンドが異なるため、会社の持つ風土や規範、ルールなどを従業員に教育することで、社員一人ひとりがその企業の代表としてふさわしい仕事の仕方や、規律ある行動ができるようになる。

たとえば管理部門のように対外的な仕事を行わないポジションの場合、お客様は社内のスタッフであると捉える。社内でのコミュニケーションの多い対内的な部門であるからこそ、よりその会社らしい振る舞いが求められるとも言える。

必要性としては、業務遂行に必要な知識、ノウハウ、スキルを習得させることも挙げられる。
特に日本の大企業の場合、総合職の雇用に関しては、欧米のジョブ型雇用ではなく、メンバーシップ型雇用が主流。
ジョブ型雇用では業務遂行能力を有している人材を雇用するため、企業が業務遂行に関する教育機会を提供する必要はない。
しかしながら、メンバーシップ型雇用の場合、業務遂行に必要な知識、ノウハウ、スキルを、配置転換の度に習得させていく必要がある。
また、人材不足や業務の高度専門化が進む昨今、異動時のみならず、総合的な社員教育の必要性が増してきている。

社員教育の目的と効果

社員教育と一口に言えど、提供するプログラムごとに目的や効果が異なる。
目的別にどのような社員教育があるのか?

■社会人としての共通認識、マナーの習得
社会人としての常識や共通認識、ビジネスマナーを習得させることを目的とするケースです。例えば挨拶や敬語、名刺の渡し方、電話応対、接遇といった、社会人として基本的な事項が挙げられます。特に新入社員教育で重要と言えるでしょう。

■規律や規範の遵守
社員に規律や規範を守らせる目的

他の社員が問題なく業務を行う中、一人の社員が重大な不祥事や犯罪、情報漏えいなどの事件を起こした場合、たとえ問題を起こしたのがたった一人であっても、会社として経営が困難になることが起こりえる。
このような事態が起きる確率を少しでも下げるため、コンプライアンスの徹底や情報セキュリティ対策を目的とした社員教育が重要となる。

■業務遂行のためのベーシックスキルを習得させる
仕事を行う上で、その所属や職位の人間が共通して持つべき業務遂行能力の習得を目的とするケース。部署や役職などによって必要とされるベーシックスキルは異なる。

■企業理念や文化の浸透
経営者の想いや考え方、企業理念、文化などを従業員に浸透させることを目的とするケース。具体的には、会社の代表からのメッセージを伝えたり、企業の歴史や社風を学ぶ研修の開催、望ましい組織風土を体現した従業員の表彰制度などが挙げられます。